こばやし方南町歯科かわら版 第4…
「歯の神経が死んだのにどうして歯が痛い」の?
いろいろな原因で、歯の痛みを感ずることを説明してきましたが,日常生活の中では,むし歯によって発生する痛みが最も多いと思われます。
今回は,むし歯の進行状態と歯の構造によって、異なった痛みが発生することを説明します。
1.う蝕 第1度 (C1 )は, エナメル質にのみ生じたむし歯で,自覚症状はなく, 痛みはほとんど生じません。
初期にはエナメル質表面が白く濁った状態であり徐々に褐色が加わります。
進行すると う窩(穴) を作ります。
2.う蝕 第2度 (C2 )は, 象牙質に達したむし歯で、歯髄との間には健全な象牙質があります。
ときには冷たいものがしみたり,一時的な痛みがあります。
3.う蝕 第3度 (C3 ) は,歯髄にまで達したむし歯で,歯髄の細菌感染により激しい痛みを生じます(歯髄炎の痛み) 。
4.う蝕 第4度 (C4 ) は, 歯冠部が崩壊して歯根のみとなり、歯髄が完全に死んで痛みを生じません。しかし,細菌の根尖外への進行により,膿みがたまり,歯の周囲の神経を圧迫して痛みが生じる場合があります(根尖性歯周炎の痛み)。
むし歯が進行して,歯髄が完全に死んでしまうと痛みは生じませんが.複根歯(根が複数ある)では,1根の歯髄が生活している時は、痛みを生ずることがあります。
歯髄腔は単純な形ではなく,根尖に近い部分で側枝を形成するものが多く,主根の神経は死んでも側枝の神経が生活している場合は,歯髄炎と同じ激しい痛みを生じます。
側枝の残存歯髄が感染源となり,根尖性歯周炎をおこして,痛みを生じることがあります。